2月27日、森富山市長の講演会に参加しました。

ひとつひとつが納得でき、ずっと、うなずきながら聞いていました。
あっという間に1時間半が経ちました。

23年1月21日、富山市は「低炭素都市づくりベストプラクティス」の大賞を受賞されました。
以下、お話の要旨です。
日本は2050年には9000万人に人口が減少する。
こういう時代に、今まで通りの拡散型の街づくりでいいのか、と考えた。
自動車社会になって、一人一台、自動車を持つようになり、大型駐車場が必要となった。
大型ショッピングモールや病院、学校、集合住宅などを、市街地でなく郊外に作るようになった。
その結果、街の中心部は人口減少が続き、鉄道や路線バスの利用客が減り、多くは赤字で廃止となった。
しかし、一方で、車を乗らないお年寄りにとって、この拡散型の街はとても不自由である。
これからの人口減少化と高齢化時代には、拡散型ではなく中心部へ凝縮する政策が必要だと考えた。
富山市は、自家用車の保有台数は福岡市に次いで第二位(1.72台/1世帯)と多く、逆に中心市街地での人口密度は全国でもっとも低い(40.3人/ha)。(ちなみにフライブルグは143人/ha)
一方で、お年寄りやこどもなど、車を自由に使用出来ない人が30%もいる。
街の真ん中の人が減り、中心部の商店や民家の空き家が増え、その結果、最も安上がりの青空駐車場が増えた。
そうすると地価が下がる。
このままでは拡散型街づくりは限界がある。そこで、凝縮型街づくりを計画した。
幸いに富山市にはJR富山駅にすべての私鉄、バスの路線が集中しているという資源がある。
そこで3つの目標を立てた。
@ 公共交通の活性化
A 交通沿線の居住促進
B 市街中心部を魅力的にする
@ 公共交通の活性化
公共交通とはいえ運営する第3セクターは民間企業である。どこまで税金を投入できるかという課題があった。
(これからやることは、きわめて不公平な税金の使い方である。)
まず、電車を買ったり軌道を敷設したり張り替えるのは市の税金を投入し、第3セクターは保有して運営する。即ち、公設民営という形をとった。
そうすることによって、第3セクターの負担は固定資産税だけで、金利、減価償却はかからず、充分経営は可能となる。
次に、富山港線をJRから引き継いだが、駅の数を増やし(10から13へ)、最終電車の時刻も21時台を23時台まで大幅に延長した。この結果、中心市街での人々のお酒の飲み方も変わった。
また、35年ぶりに道路上に電車の軌道を作ったが市民は反対しなかった。
この結果、平日の公共交通機関の利用者はなんと2.1倍、休日は3.9倍に増えた。
年齢別にみると60代以降の高齢者が3,4倍に増えた。高齢者に外出の機会を増やした結果になった。
また、LRTの色を7色にした。全色を制覇するという楽しみもある。
さらに将来、新幹線が出来て、高架になったら、JRの真下にLRTをクロスして走らせられる。
新幹線を降りてエレベータに乗ったら、下はLRTの駅になる。
また、富山西にループを作る。一周20分の軌道に2台のLRTを周回させると10分以内に電車が来る。200円で乗り放題となる。

A 交通沿線の活性化
バス停から300m、鉄道駅から500mの範囲に家を建替えたり、そこへ移り住む人に補助金を出した。
その結果、富山市全体の住宅着工率は0.78倍であるにも関わらす、沿線の住宅着工率は1.67倍になった。
沿線に住居を構えれば、自宅から市街中心部へ車に乗らずに行けるのだ。
B 市街中心部を魅力的にする。
所得税、法人税の落ち込みで、相対的に固定資産税の比率が上がる。6年間で38%が49%になった。
だが、市街中心部の地価が下落し続けるので税収総額は減少し続ける。
中心部の地価下落を食い止めなければならない。
そこで、グランドプラザ整備事業など市街中心部に税金を投入して活性化を図った。
大和百貨店と大駐車場の間に多目的のガラス屋根付きの空間を作って、いろんなイベントやこども絵描きゾーンとして活用した。
グランドプラザオープンの時、3日間運賃をタダにしたら、通常の11.4倍もの人が利用した。タダにすると人が来るというのがわかった。
また、市街中心部に賃貸住宅を建てた人に100万円、借りた人に50万円補助した。病院経営者が中心部に高齢者向け賃貸住宅が3つ建てた。高齢者が郊外から移り住んできた。郊外と市内に2つの住宅を持つ人も現れた。
この結果、数年前は転出者が200人だったのが、転入者が55人となった。
自然減を含めると増加ではないが、ほぼ横ばいに変わりつつある。
「お出かけバス」
65歳以上の高齢者は、どんなに遠くても、郊外から中心部に来るバスに100円で乗れるようにした。(電車は200円)この結果、2267人/1日の乗客があり、利用率は32%増加した。
自転車置き場
自転車置き場を15か所作り、かっこいい自転車を150台(各所10台づつ)置いた。
30分100円で、どこで借りて何処へ返してもよい。
返す場所が偏るので均等にするために人が必要になるが、これも雇用創出という副産物ができた。
この事業総額は1.5億円で、100%環境省が出してくれた。
フラワーハンギング
7000万円かけて街に花を飾った。魅力ある街作りの寄与している。
この花と自転車がおシャレという事で、あるところからファッション大賞を頂いた。
まとめ
日本の人口は2050年には9000万人に減少するという。
人口減少と高齢化で経済は停滞に向かう。
それゆるやかにするには、雇用を増やすしかない。
雇用を増やすには企業が投資をすることが必要。
企業が投資するには、社員の家族が安心して暮らせる魅力ある街づくりが不可欠である。
それには、街の中心街が魅力的であることが必要である。
うれしいことに、愛知県のある企業が富山市に来ることを決めた。
市長に会う前にみんなで先に街を見に来て決めたらしい。
以上が富山市の街づくりである。
この結果、公共交通機関の利用が増え、結果としてCO2の削減に効果があって、大賞を頂いた。
お分かりのように、極めて不公平に税金を使った。
この不公平な税金の使い方を市民に説明するプレゼンテーションを私だけで130回以上行った。
市民は納得してくれた。
税金を市街地に集中投入して、市街地を活性化させ、人々が楽しんで暮らせる街を作り、企業を誘致する。
この一見不公平な税金の投入で得た税収で、中山間地を元気にする政策を実施する。
市民の暮らし方も変わってきた。
オペラを見る時、ワインがたくさん売れ始めた。
以上、何か、希望がわいてくるお話でした。
そのあと、山野市長が挨拶されました。

素敵な挨拶でした。
きっと金沢も素敵な街に生まれ変わるでしょう。